国が定めたがん対策推進基本計画(平成19年6月)において、すべてのがん診療連携拠点病院は5大がん(肺がん、胃がん、大腸がん、肝がん、乳がん)に関する地域連携クリティカルパスを整備することになりました。これが乳がん術後地域連携パスのはじまりです。
乳がん検診で要精査(精密検査が必要)や乳房にしこりなど自覚症状を認める場合は乳がんの可能性もありますので、かかりつけ医から高次医療機関(例えば日赤病院や大学病院など)に紹介されます。そして、そこで高度な画像検査(乳腺MRI検査など)や病理検査(針生検やマンモトーム生検など)をおこなって乳がんかどうかを診断します。もし、それが乳がんなら手術、放射線治療や薬物療法(抗がん剤など)をおこないます。そして、それらの治療が一段落し定期的な経過観察や比較的副作用の少ないホルモン療法はかかりつけ医で行う病診連携の事を乳がん術後地域連携パスといいます。
わたしの前勤務病院である日赤病院は2011年度から連携パスを導入し、現在は対象となる乳がん患者さんのほぼすべての方が参加されています。このようにして患者さんに質の高い医療を維持しながら、乳がん診療を提供しています。
次回は乳がん術後地域連携パスのメリット、デメリットをお話しします。